東京高等裁判所 昭和49年(行ス)3号 決定
抗告人らは同事件の昭和四八年八月三日第一回口頭弁論期日において同日付の文書提出命令申立書(文書の所持者茅野市長)に基づき本件文書提出命令の申立てをなし、原裁判所は昭和四九年一月一八日第五回口頭弁論期日において抗告人らの右文書提出命令の申立てを却下し同事件の口頭弁論を終結したこと、抗告人らは右弁論終結後同期日において右文書提出命令申立却下決定に対して本件抗告状に基づき即時抗告をしたことが認められる。ところで、文書提出の申立てに関する決定に対しては即時抗告をすることができる(民事訴訟法三一五条)ことが定められているが、文書提出命令の申立てを却下した決定に対しては本案事件の弁論終結にいたるまで即時抗告が許され、弁論終結後は許されないと解するのが相当である。すなわち、文書提出命令の申立ては書証の取調申出の方法としてなされるものであって、本案事件につき弁論が終結された後においては文書提出命令に基づき文書が提出されても書証として提出する余地なく、また文書提出の申立てについては当該文書が訴訟の審理に必要な証拠でないと認めるときは裁判所は所持者に提出を命ずることなくその申立てを却下できるもので、これが必要性の判断は本案事件と密接な関係にあるから、その必要がないものとして該申立てを却下し本案事件の弁論を終結した後においてなおこれに対する即時抗告を認めることは本案の審理をいたずらにむしかえす結果となり、訴訟の迅速な処理の観点からみても不適当であって、他方、本案事件の弁論終結後は文書提出命令申立却下決定に対し即時抗告が許されないものと解しても、右却下決定は終局判決前の裁判として控訴裁判所の判断を受ける(同法三六二条本文。なお、右却下決定は同条ただし書きの適用上「抗告ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得ル裁判」に該当しないこととなる。)ものであるから、本案判決において敗訴した当事者は控訴審においてその当否を争うことができ、文書提出命令申立人に対し何らの不利益はない。
(久利 安倍 舘)